P9-02 脳白質の石灰化病変を呈した全身性エリテマトーデスの一例
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概要
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27歳男性.主訴は右半身麻痺.22歳より蝶形紅斑,脱毛,頭痛,両眼視力低下が出現.リンパ球減少,抗核抗体,抗DNA抗体,抗Sm抗体陽性より全身性エリテマトーデスと診断.両眼底に血管炎を認め髄液蛋白・細胞数増加,IL-6 83.7 pg/mlと上昇を認めた.ステロイドパルス後プレドニゾロン(PSL)60 mg/日開始.シクロフォスファミドパルス(IVCY)7回施行後タクロリムス(TAC)併用しPSL 7.5 mg/日まで漸減.24歳時,皮疹増悪と頭痛にて入院.頭部CTおよびMRI上2年前には認めなかった両側尾状核の石灰化病変が出現していた.PSL 40 mg/日へ増量TACをメトトレキサートへ変更IVCY3回併用し軽快.26歳時PSL 12 mg/日内服中に自己中断.皮疹,関節炎が増悪しPSL 40 mg/日再開,MRIで右尾状核石灰化病変は拡大していた.PSL 15 mg/日内服中の27歳時,右下肢麻痺が出現.2ヶ月で進行し右上肢の麻痺も出現し入院.CTでは左放線冠に石灰化が新たに出現.MRI拡散強調画像で同部位に高信号,T1強調画像でGd増強効果を認めた.髄液細胞数増加はないがIL-6 6.8 pg/mlと上昇.以上より脳血管炎による麻痺と診断.ステロイドパルス,PSL 60mg/日へ増量,アザチオプリンを併用し麻痺は徐々に改善した.従って本症例の神経病変は血管炎によるreversible neurological deficitと考えられた.また基底核のみならず白質にも石灰化をきたしておりGd増強効果を認めたことから石灰化の原因として血管炎が関与することが示唆された.
- 日本臨床免疫学会の論文
著者
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和田 達彦
北里大学病院 膠原病感染内科
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遠藤 裕子
北里大学病院 膠原病感染内科
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有沼 良幸
北里大学病院 膠原病感染内科
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荘 信博
北里大学病院 膠原病感染内科
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谷 名
北里大学病院 膠原病感染内科
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松枝 佑
北里大学病院 膠原病感染内科
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原 亮祐
北里大学病院 膠原病感染内科
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安部 学朗
北里大学病院 膠原病感染内科
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永井 立夫
北里大学病院 膠原病感染内科
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田中 住明
北里大学病院 膠原病感染内科
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廣畑 俊成
北里大学病院 膠原病感染内科
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