P6-07 LAT1特異的阻害薬によるT細胞活性化の抑制
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概要
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L-type amino acid transporter 1 (LAT1)は必須アミノ酸を細胞内に取り込むトランスポーターである.その発現は,正常組織においては一部の限られた組織に極僅かにみられるのに対し,癌細胞においては非常に高いことがわかっている.このような知見から,LAT1は癌細胞に重要な必須アミノ酸トランスポーターとして考えられている.一方,我々は抗CD3抗体及び抗CD28抗体により完全活性化されたヒト末梢血T細胞が,LAT1の発現を顕著に上昇させることを見出した.しかし,抗CD3抗体のみ又は抗CD28抗体のみではLAT1の発現上昇はみられなかった.さらに,LAT1の発現上昇はNF-kB及びAP-1の阻害剤により顕著に抑制された.そこで,LAT1の活性化T細胞における役割をLAT1特異的阻害薬JPH203を用いて調べたところ,JPH203によりアミノ酸の取り込み,及びサイトカイン産生が顕著に抑制されることもわかった.さらに,JPH203により活性化T細胞における転写抑制因子DDIT3の発現が上昇し,DDIT3がNF-kB及びNFATの機能を阻害する事によりサイトカイン産生が抑制されることも明らかとなった.以上の結果から,LAT1阻害薬が既存の薬物とはメカニズムが異なる新しい免疫抑制剤として臨床応用できる可能性が示唆された.
著者
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