P6-02 脂肪分化誘導による滑膜細胞からのマトリックスメタロプロテアーゼ産生抑制
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概要
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【目的】関節滑膜組織は表層からlining層とsub-lining層に区別され,その深層には脂肪組織が存在する.関節リウマチ(rheumatoid arthritis : RA)においては,骨髄の脂肪組織とともに関節腔近傍の脂肪細胞が減少するという変化を認める.線維芽様滑膜細胞(fibroblast-like synoviocyte : FLS)はサイトカインおよびプロテアーゼを産生するため,RAの治療標的細胞と位置づけられている.同様に間葉系幹細胞(mesenchymal stem cell : MSC)は骨髄中に存在し,FLSと同様にIL-6分泌能があり,RAにおいても骨髄中の炎症維持や破骨細胞活性化に寄与すると考えられる.FLSとMSCは,共に間葉系細胞への分化能を有する.我々はFLSとMSCの脂肪分化誘導により,同細胞のサイトカイン産生やプロテアーゼ産生といったRA促進的機能を抑制できないか検証した.【方法】FLSとMSCの脂肪分化を誘導し,サイトカインとプロテアーゼの発現をmRNA及び蛋白質レベルで評価した.【成績】FLS,MSCいずれも脂肪分化誘導によりIL-6産生が劇的に抑制されるが,誘導されるインターロイキンは皆無であった.FLSにおいて脂肪分化誘導後にMMP-1とMMP-2の発現低下が確認された.【結論】FLSとMSCの脂肪分化誘導は,同細胞の炎症促進性あるいは組織破壊性の性格を抑制し,RAにおける滑膜あるいは骨髄での炎症や組織破壊の抑制効果が期待される.
- 日本臨床免疫学会の論文
著者
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杉山 英二
広島大学病院リウマチ・膠原病科
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熊谷 和彦
広島大学病院 リウマチ膠原病科
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山崎 聡士
広島大学病院 リウマチ膠原病科
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遠藤 功二
広島大学病院 リウマチ膠原病科
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野島 祟樹
広島大学病院 リウマチ膠原病科
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杉山 英二
広島大学病院 リウマチ膠原病科