P1-12 免疫不全モデルマウスを用いたFoxp3遺伝子導入ヒトCD4+T細胞の免疫抑制機能の解析
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概要
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制御性T細胞(Treg)は自己免疫性疾患の原因となる過剰な免疫反応を抑制し,自己の恒常性を維持する.そのマスター遺伝子としてFoxp3が同定され,ヒトにおいてはCD4+CD25highT細胞群がFoxp3を発現し,過剰な免疫反応を抑制しており,事実,Foxp3遺伝子に変異があるIPEX患者では炎症性腸炎や内分泌系異常を伴う強度の自己炎症反応を呈する.ただ,ヒトTregはマウスTregとは異なりin vitroでの機能解析が困難で,その詳細な解析は行われていない.本研究では,免疫不全モデルマウス(NOG : NOD/Shi-scid IL2rgnull)にFoxp3遺伝子を導入したヒトCD4+T細胞を移植し,in vivoの系でヒトTregの免疫抑制機能を解析する.1×106個のヒト末梢血リンパ球を移植したNOGマウスは2週目に体重減少をきたし,4週目には全例GVHD(肝機能障害,皮膚・腸管上皮の障害)で死亡する.一方,同数のヒト末梢血リンパ球をFoxp3遺伝子導入CD4+T細胞とともに移植したマウスではGVHDの発症が抑えられ,その生存期間が有意に延長した.このことは,Foxp3遺伝子の発現がヒトCD4+T細胞をTregに分化誘導することを示唆しており,現在,投与細胞数を調節することでTregが持つ免疫抑制能の定量性を詳細に解析している.
- 日本臨床免疫学会の論文
著者
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河合 利尚
独立行政法人国立成育医療研究センター研究所 成育遺伝研究部
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小野寺 雅史
独立行政法人国立成育医療研究センター研究所 成育遺伝研究部
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山元 茉莉
独立行政法人国立成育医療研究センター研究所 成育遺伝研究部