W2-3 免疫性末梢神経疾患の病態と自己抗体
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概要
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免疫性末梢神経疾患では,しばしば自己抗体がみられる.ガングリオシドを含む糖脂質や糖タンパクの糖鎖を認識する抗体は,ギラン・バレー症候群(GBS)とその亜型,およびIgM M蛋白を伴うニューロパチー(IgM-N)で高頻度にみられる.GM1,GalNAc-GD1a等に対する抗体は,純粋運動型あるいは軸索障害型のGBSにみられる.大型の一次感覚ニューロンに局在するGD1bに特異的な抗体は運動失調を伴うGBSにみられる.GQ1b抗体は,GBS亜型のFisher症候群,Bickerstaff型脳幹脳炎や,眼球運動麻痺を伴うGBSにみられ,GQ1bの局在する脳神経III,IV,VIの傍絞輪部や一部の一次感覚ニューロン,神経筋接合部等を標的とする.末梢神経ミエリンに局在するLM1に対する抗体は,脱髄型GBSにみられる.また二種類のガングリオシドの糖鎖が形成するガングリオシド複合体に対する抗体がみられる症例もある.IgM-Nでは,myelin-associated glycoproteinや糖脂質のSGPGに反応するIgM M蛋白を伴うことが多い.糖鎖に対する抗体は,標的抗原の局在部位に特異的に結合して臨床病型を決定する.一方,糖鎖以外に対する抗体としては,傍腫瘍性ニューロパチーにみられるHu抗体やCV2抗体,自己免疫性自律神経障害性ニューロパチーにおけるganglionic acetylcholine receptorに対する抗体等が知られる.これら自己抗体の検討で得られた知見がテーラーメード医療を含む新規治療戦略の構築につながることが期待される.
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