下関開催記念シンポジウム5 生理活性物質による安定性のあるヒト制御性T細胞および寛容型樹状細胞の誘導と臨床応用
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概要
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免疫寛容システムは,免疫の恒常性維持に必須で,自己免疫疾患などの発症抑制に重要な役割を果たしている.この免疫寛容を司る主な細胞に,制御性T細胞(Treg細胞)と免疫寛容樹状細胞(tDC)がある.現在,自己免疫疾患の患者の多くが,免疫抑制剤の治療を受けているが,より選択的で副作用が少ない長期間寛解を維持できる治療の研究がすすめられており,自己反応性T細胞を標的とした免疫寛容を導くTreg細胞や樹状細胞を用いた抗原特異的な治療が注目されている.また,マウスの実験系では遺伝子治療もおこなわれているが,がんと違って,自己免疫疾患などの慢性炎症に対しては,より高い安全性が求められるため,現時点では遺伝子操作による治療の適応はない.このため,生理活性物質や薬剤を用いて,安全で安定性のあるTreg細胞やtDCの誘導の研究が盛んに行われている.tDCの誘導には,IL-10,TGF-β,デキサメサゾン,ラパマイシンなどにより誘導されるが,いずれも一長一短があり,臨床的に有効かは不明である.そこで我々は,生理活性脂質,核内受容体リガンド,キナーゼ阻害剤のライブラリーから,PPARアゴニストがヒトTreg細胞を,Cキナーゼ阻害剤がヒトtDCを効率よく誘導することを見出した.これらの細胞の特徴,誘導機序,安定性,動物実験によるin vivoでの効果,他の誘導物質との比較および抗原特異的Treg細胞の誘導能について発表する.
- 日本臨床免疫学会の論文
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