スポンサードシンポジウム2 新たな炎症マーカーLRGの臨床応用
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概要
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近年,TNF-αやIL-6などの炎症性サイトカインに対する阻害抗体が関節リウマチ,クローン病,ベーチェット病などの炎症性疾患に臨床応用され優れた治療効果を示している.しかしながら,これら抗体医薬品,特にIL-6R阻害抗体使用時のIL-6抑制下においては,IL-6で誘導されるCRPやSAAなどの炎症マーカーが指標として用いることが出来ないため,IL-6R阻害抗体使用時の炎症の評価や感染症罹患の早期の検出が困難となっている.また,潰瘍性大腸炎やSLEなどCRPが有効な活動性マーカーとならない疾患が知られている.今回,われわれはTNF-α阻害抗体治療前後の関節リウマチ患者血清より,治療前の活動期に高く,治療後の寛解期に低くなるタンパクとしてLRG (leucine rich alpha 2 glycoprotein)を同定した.LRGは関節リウマチのみならず,クローン病,潰瘍性大腸炎などにおいても,活動期に高く寛解期に低くなり,またCRPよりも強く疾患活動性と相関し,内視鏡スコア—とも相関を示した.また,LRGは肺炎や肺結核罹患時においても上昇し,IL-6以外にTNF-α,IL-22,IL-1βなどの炎症時に誘導されるサイトカインによっても発現が誘導されることから,IL-6抑制下における炎症,感染症を評価しうる炎症マーカー,すなわちIL-6R阻害抗体のサロゲートマーカーとして臨床応用が出来る可能性が示唆された.
著者
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仲 哲治
独立行政法人医薬基盤研究所免疫シグナルプロジェクト
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藤本 穣
独立行政法人, 医薬基盤研究所, 基盤的研究部, 免疫シグナルプロジェクト
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世良田 聡
独立行政法人, 医薬基盤研究所, 基盤的研究部, 免疫シグナルプロジェクト
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藤本 穣
独立行政法人医薬基盤研究所 免疫シグナルプロジェクト
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仲 哲治
独立行政法人医薬基盤研究所 免疫シグナルプロジェクト
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世良田 聡
独立行政法人医薬基盤研究所 免疫シグナルプロジェクト
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