糖尿病治療における血糖とHbA1cの相関について―鉄欠乏性貧血に関して―
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概要
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2型糖尿病患者の治療中に血糖とHbA1cの相互関係の乖離がみられる場合がある。特に鉄欠乏性貧血を呈する場合に多い。今回HbA1cの値に及ぼす鉄代謝に注目し検討した。1)1群は2型糖尿病に鉄欠乏性貧血を合併している患者6例についてHbA1c,血糖,ヘモグロビン(Hb),血清鉄,総鉄結合能(TIBC),不飽和鉄結合能(UIBC),フェリチン等を測定した。2)2群は2型糖尿病で鉄欠乏性貧血を合併して無い患者40例(男24,女16)のHbA1c,血糖,Hb,血清鉄,TIBC,UIBC及びフェリチン等を測定した。3)3群は正常対照群として某企業における女子240例のHbA1c,血糖,Hb,血清鉄等を比較した。4)72ヶ月追跡しえた2型糖尿病貧血合併例1例のHbA1c,血糖,Hb,血清鉄,TIBC,UIBC及びフェリチン等を測定しHbA1cと鉄代謝との関連を観察した。HbA1cとの関連について1)ヘモグロビンとは1群で正の相関(P<0.01)がみられたが2,3群では関連が無かった。2)血糖とは1,2,3群でいずれも正の傾向をしめした。3)血清鉄とは1群の貧血合併例ではHbA1cと負の相関をしめした(P<0.01)。2,3群では関連が無かった。4)TIBCでは1群と正の相関をみた(P<0.05)。5)UIBCとは1群と正の相関をしめした(P<0.01)。6)フェリチンとは1群と2群で負の傾向をしめした。7)長期観察例ではHbA1cと血清鉄に関連がみられた。2型糖尿病患者で鉄欠乏性貧血を呈する者はHbA1cとヘモグロビンとでは正の相関を示し血清鉄との間で負の相関がみられた。鉄剤の投与によりHbA1cは安定し血糖と相互関係の乖離は改善された。
- 公益社団法人 日本人間ドック学会の論文
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