大動脈縮窄,大動脈弓離断合併の複雑心奇形に対する段階的修復の成績
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概要
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背景:当センターでは,複雑心奇形を合併する大動脈縮窄,大動脈弓離断(CoA/IAA)に対し,新生児期の人工心肺を回避する目的で,初回手術で側開胸下に拡大大動脈弓吻合法による大動脈弓再建(EEDA)と肺動脈絞扼術(PAB)を行う段階的修復を基本方針とし,低体重,大動脈弓低形成を認める症例に対しては両側肺動脈絞扼術(BPAB)を先行させた段階的修復を施行してきた.対象・方法:対象は,1996~2009年に当科で外科治療を施行したCoA/IAA全77例中,simple CoA,VSDを除く複雑心奇形の合併を認めた17例.初回手術で人工心肺を使用せず側開胸下に拡大大動脈弓吻合法によるEEDAとPAB,またはBPABを行う段階的修復を施行し,その成績を検討した.結果:17例中10例に単心室修復,7例に二心室修復を施行した.単心室群の初回手術は,8例に側開胸下のEEDA,PABを施行し,2例にBPABを施行した.全例耐術し,現在までに10例中8例はFontan手術に到達し,2例はGlenn術後でFontan手術待機中である.二心室群の初回手術は,5例に側開胸下のEEDA,PABを施行し,2例にBPABを施行した.全例心内修復術に到達した.5例は生存中で,2例に手術死亡例を認めた.経過中に大動脈弁下狭窄(SAS)に対するDamus-kaye-Stanse(l DKS)またはmyectomyを8例で施行した.大動脈再建後の再狭窄に対するPTAを3例で施行した.結論:複雑心奇形を伴うCoA/IAAに対する初回手術で,人工心肺を使用せず側開胸下に拡大大動脈弓吻合法によるEEDAとPABを行う段階的修復は,経過中にSASなどに対する外科治療を要したが,概ね良好な成績であった.また,低体重,大動脈弓低形成の症例に対してはBPABを先行させた段階的修復が有効と思われた.
著者
-
前畠 慶人
大阪市立総合医療センター小児心臓外科
-
江原 英治
大阪市立総合医療センター 新生児科
-
村上 洋介
大阪市立総合医療センター・小児医療センター小児循環器内科
-
西垣 恭一
大阪市立総合医療センター・小児医療センター小児心臓血管外科
-
川平 洋一
大阪市立総合医療センター・小児医療センター小児心臓血管外科
-
小澤 有希
大阪市立総合医療センター・小児医療センター小児循環器内科
-
鈴木 嗣敏
大阪市立総合医療センター・小児医療センター小児循環器内科
-
平野 恭悠
大阪市立総合医療センター 小児循環器科
-
木戸 高志
大阪市立総合医療センター 小児心臓血管外科
-
鈴木 嗣敏
大阪市立総合医療センター 小児循環器科
-
小澤 有希
大阪市立総合医療センター 小児循環器科
-
村上 洋介
大阪市立総合医療センター 小児循環器科
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前畠 慶人
大阪市立総合医療センター 小児心臓血管外科
-
川平 洋一
大阪市立総合医療センター 小児心臓血管外科
-
西垣 恭一
大阪市立総合医療センター 小児心臓血管外科
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江原 英治
大阪市立総合医療センター 小児循環器科
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