脊椎・脊髄外科の基本手技:頚椎変性疾患について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
頚椎変性疾患の外科治療は, 脳神経外科医が行う頻度の高い手術である. 本稿では, 頚椎前方椎間固定術と椎弓形成術の基本手技と合併症について, 自験例の分析とともに解説した. 前方固定術は, 1ないし2椎間のヘルニアや骨棘等の前方病変に対して最も適応がある. 前方アプローチで目印となる構造は, 胸鎖乳突筋, 肩甲舌骨筋, 総頚動脈, 食道, 頚長筋である. 骨棘はダイアモンドバーでのドリリング後に鋭匙を用いて慎重に除圧する. 椎間固定には自家腸骨が標準といえるが, チタンケージもほぼ同程度の骨癒合率を有する. 後方アプローチでは項靱帯, 僧帽筋, 頭板状筋, 頭半棘筋, 頚半棘筋, 多裂筋が目印となる構造である. 椎弓を開くための溝は椎間関節のすぐ内側に作成して脊椎管の十分な除圧を行う. 閉創では, 後方の軟部組織, 特に項靱帯と付着する筋の再構築が重要である. また, 手術合併症と術後経過中に起こり得る病態に関してよく知っておくことは頚椎変性疾患の治療に必須である.
著者
関連論文
- 脊髄くも膜嚢胞の臨床的検討
- 副神経に複数の血管圧迫を認めた痙性斜頸の1手術例
- 高位頚部頚動脈病変への手術アプローチのポイント
- 急性期頸髄損傷に対するMyelotomyの経験
- 6)Chiari奇形を伴う脊髄空洞症の外科的治療
- 腫瘍性病変が疑われた脱髄疾患の臨床病理学的検討
- 頭蓋内原発endodermal sinus tumorの頭蓋内・脊髄転移例 : 自験例および文献例の検討
- 脊椎・脊髄外科のためのニューロイメージング
- 脊髄癒着性クモ膜炎の病態と治療
- 頚椎後縦靭帯骨化症に対する外科治療 : 前方除圧術と後方除圧術の適応(頚椎 OPLL)
- 頸部脊椎症とヘルニアの外科治療(脊椎・脊髄の外科治療[1])
- 6.脊椎・脊髄と神経根
- 第 67 回 AANS (American Association of Neurological Surgeons) Meeting に参加して
- 脊椎・脊髄外科の基本手技:頚椎変性疾患について
- 腰仙部皮膚異常と潜在性二分脊椎に伴う脊髄病変