外来診療における患者解釈モデルの質的検討:解釈モデルをどう扱うべきか
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概要
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要 旨目的 : 解釈モデルとして患者が何を語っているのかを明らかにする. 対象・方法 : 2011年9月~2012年2月に富山大学附属病院総合診療部を受診した初診患者のうち, 病状に対する患者解釈モデルが記載されていた91名分のカルテを修正型グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて質的に検討し. た結果 : 解釈モデルの内容から「特定の疾患」物語, 「漠然とした病態」物語, 「心理社会的要因」物語の3群に分類した. 「心理社会的要因」群では, 1例を除き器質的疾患は認められなかった. 残りの物語群では約半数に器質的疾患を認めたが, 患者が述べた通りの疾患や病態であったのは16.5%であった. 脳血管障害, 癌などの病名を挙げた例が多かったが, ほとんどは異常を認めず, 患者はその病名に特定のイメージを投影しているものと思われた. 結語 : 患者の語る解釈モデルは, 医学的情報だけでなく様々な情報を含んでいる. 特に患者が癌や脳卒中などの病名を唐突に挙げる場合にはそれをメタファーと捉えてみることが患者理解に有効と考えられた.
著者
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山城 清二
富山大学附属病院総合診療部
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北 啓一朗
富山大学附属病院総合診療部
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黒岩 麻衣子
富山大学附属病院総合診療部
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小浦 友行
富山大学附属病院総合診療部
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川渕 奈三栄
富山大学附属病院総合診療部
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中垣内 浩子
富山大学附属病院総合診療部
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