北部ベトナム,Sin Quyen 鉱山の褐簾石に富む銅- 磁鉄鉱鉱床の予察的研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
Sin Quyen 鉱山の褐簾石に富む含金黄銅鉱-磁鉄鉱鉱床の代表的鉱石について顕微鏡観察と化学的性質を予察的に調 べた.鉱床は母岩の北西- 南東系片理面に規制されて胚胎する縞状鉱として産出するが,主鉱石鉱物である磁鉄鉱・黄銅鉱は塊状~鉱染状に産出し鉱物粒は変形を受けていない.鉱化作用は広域的な変形運動後の恐らく古第三紀に生成したものと考えられる.随伴変質鉱物は,輝石・角閃石類・褐簾石・緑廉石・黒雲母・チタン石・方解石・少量の石英からなり,褐簾石は軽希土類に富み16 Wt.%に達する希土類元素を含む.褐簾石は自形,早期晶出相の一つで,磁鉄鉱と黄銅鉱に交代される.この褐簾石は化学組成上,Mn に乏しい性格を持ち,これは日本の花崗岩地帯では磁鉄鉱系花崗岩類の褐簾石に見出されるものであるから, Sin Quyen 鉱床もREE に富む酸化的なアルカリ花崗岩質マグマ活動で生成した可能性が高い.この点は鉱床が磁鉄鉱に富むこととも整合的である.磁鉄鉱と黄銅鉱とは磁力選鉱・浮遊選鉱で完全に回収されおり,褐簾石は全てテーリング(選鉱廃石)に移動している.従ってテーリングのREE 含有量は高く,テーリング場は将来の軽希土類資源貯鉱場と考えることも可能である.
- 産業技術総合研究所地質調査総合センターの論文
著者
-
星野 美保子
AIST, Geological Survey of Japan, Institute for Geo-Resources and Environment
-
Hoshino Mihoko
AIST, Geological Survey of Japan
-
Ngoc Can
Institute of Geological Sciences, Vietnamese Academy of Science and Technology
-
石原 舜三
AIST, Geological Survey of Japan
-
Tuan-Anh Tran
Institute of Geological Sciences, Vietnamese Academy of Science and Technology
-
平野 英雄
AIST, Geological Survey of Japan
-
Thi Dung
Institute of Geological Sciences, Vietnamese Academy of Science and Technology
関連論文
- Petrochemistry of the Late Cretaceous-Paleogene igneous rocks in the Ikuno-Akenobe mines area, Southwest Japan
- 足摺岬の付加体に貫入するジルコンと希土類元素に富むアルカリ深成岩類
- 北部ベトナム,Sin Quyen 鉱山の褐簾石に富む銅- 磁鉄鉱鉱床の予察的研究
- ベトナム北部のMau Due アンチモン鉱床周辺の重金属元素分布について
- 北海道,豊羽鉱床産インジウム多金属鉱石の化学的特徴