熱帯アジアにおける地中熱利用のための地下温度調査
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概要
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今世紀の多大な経済的発展が見込まれる東アジアでは,エネルギーセキュリティと環境保護が大きな課題となると見られる.地中熱ヒートポンプ(GHP)システムの普及は,その両方の問題解決に貢献すると考えられる.GHP 普及のためには,詳細な地下温度分布情報が必要である.そのため,地下水温度データに基づいて,熱帯アジアにおいてのGHP利用可能性の研究を行った.地下温度は一般的に地表の平均気温よりも高いため,熱帯では一般的に地中熱を冷房に利用することの熱的メリットはないが,場所によっては,地下を「冷たい熱源」として利用できる可能性がある.この可能性を探るため,タイのチャオプラヤ平野およびベトナムのホン川平野において,広く地下水温度調査を行い,気温データとの比較をおこなった.その結果,チャオプラヤ平野では,場所により深度20〜50 m の温度範囲が3.4 K,ホン川平野では2.0 Kも変化することが明らかになった.またいくつかの都市では,この深度の地下温度が月平均最高気温より5 K以上低い月が4ケ月以上あることが確認された.従って,熱帯でも場所によっては,地下を冷熱源としてGHPに利用できる可能性が出てきた.
- 産業技術総合研究所地質調査総合センターの論文
著者
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ブアペン ソムキッド
Department of Groundwater Resources
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天満 則夫
地圏資源環境研究部門
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安川 香澄
地圏資源環境研究部門
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内田 洋平
地圏資源環境研究部門
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スワンラート ジットラコーン
Department of Groundwater Resources (DGR)
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田口 雄作
地圏資源環境研究部門
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村岡 洋文
地圏資源環境研究部門
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石井 武政
地圏資源環境研究部門
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グエン タイ
Department of Geology and Minerals of Vietnam
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