東濃ウラン鉱床におけるナチュラルアナログ研究:-ウラン鉱床での隆起・沈降の変遷と隆起速度の見積もり-
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概要
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東濃ウラン鉱床はその形成時 (約1千万年前) から隆起・侵食の影響を受けてきたにもかかわらず, 大部分のウラン系列核種は移行せずに安定に保持されている. 隆起・侵食によって生じる地質環境の水理学的・地球化学的な変化によって, 放射性核種の化学的挙動が変化する可能性があるため, 東濃ウラン鉱床が被った隆起・侵食に伴う地質環境の変化とその変化がウランの移行・保持に及ぼした影響を示すことにより, 隆起・侵食を考慮した地層処分システムの信頼性の向上に資することができる. そこで, 隆起・侵食が地質環境にどのような影響を及ぼすかを評価する研究の一環として, 現在認められる地層の厚さから, 海水準変動と不整合期の侵食量を考慮して, 東濃ウラン鉱床の隆起・沈降量と過去約150万年間の隆起速度を見積もった. 見積もりの結果, 隆起量としては約150万年前と考えられる瀬戸層群の堆積後, 現在までの期間が約340mと最も大きく, この間の平均隆起速度は約0.2~0.3mm/年と見積もられた. ただし, 隆起・沈降量の見積もりには, 海水準変動と侵食量の見積もりが影響するため, これらを精度よく復元する必要がある. また, 隆起速度の見積もりには隆起に要した期間の決定精度が大きく影響し, 瑞浪層群と瀬戸層群の不整合期を例とすると, 現在得られている放射年代値を用いると, 見積もり結果に最大で10倍程度の差が生じることが明らかになった.
- 一般社団法人 日本原子力学会 バックエンド部会の論文
著者
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天野 健治
Tono Geoscience Center, Japan Nuclear Cycle Development Institute
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笹尾 英嗣
Tono Geoscience Center, Japan Nuclear Cycle Development Institute
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太田 久仁雄
Tono Geoscience Center, Japan Nuclear Cycle Development Institute
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