超音波検査による内シャント血流機能評価は「透析中」でも実施可能か?
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
シャント超音波検査を透析中に施行できれば,総合的な内シャントの評価および管理を効率的に行うことができる.本研究では,シャント超音波検査による血流機能評価を,「透析中(脱血中)」に正確に測定できるかどうかを調べた.対象は,維持血液透析患者62例とし,透析中に,血液ポンプを稼動した状態(脱血時)と停止した状態(非脱血時)で,上腕動脈のシャント血流量(flow volume:FV)とシャント血管抵抗指数(resistance index:RI)を測定した.各測定は,透析開始直前,透析1.5時間時,透析2.5時間時,透析終了時に行って,症例ごとに各時間の平均値を算出した.そのデータを基に,「脱血時・非脱血時」間の相関解析を,FV,RIのそれぞれで行い,同時にFVが350 mL/min以下の場合とRIが0.6以上の場合においても脱血時・非脱血時のFVおよびRIのデータを抽出して相関解析を行った.また,FVとRIの透析中の経時変化の比較と,それぞれの各時間における「脱血時・非脱血時」間の比較を行った.さらに,シャント部位別(前腕部,肘部,上腕部)におけるFVの標準偏差値を比較検討し,上腕動脈描出率の算出を行った.FVとRIの測定回数は各々992回であり,「脱血時・非脱血時」間の相関解析では,FV・RI,FVが350 mL/min以下の場合のFV・RI,RIが0.6以上の場合のFVにおいて有意な正相関を示した.ただ,RIが0.6以上の場合のRIでは相関を示さなかった.FVとRIは透析中低下したが,「脱血時・非脱血時」間の各時間における比較では,FV,RIともに差を認めなかった.測定部位における評価では,前腕部と肘部で高い測定精度を示した.これらの結果から,透析中におけるシャント血流機能評価は,脱血・非脱血の有無,および透析中の時間帯にかかわらず概ね正確に施行することが可能と考えられた.
著者
-
廣田 英二
綾部市立病院
-
人見 泰正
綾部市立病院医療技術部臨床工学科
-
林 道代
綾部市立病院医療技術部臨床工学科
-
鳥山 清二郎
綾部市立病院泌尿器科
-
衣川 由美
綾部市立病院医療技術部臨床工学科
-
藤堂 敦
兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科
-
中川 隼斗
綾部市立病院医療技術部臨床工学科
-
笹原 知里
綾部市立病院医療技術部臨床工学科
-
高村 俊哉
綾部市立病院泌尿器科
-
水野(松本) 由子
兵庫県立大学 応用情報科学研究科
-
佐藤 暢
桃仁会桃仁会病院泌尿器科
関連論文
- 長時間使用における膜型血漿分離器「エバキュアー」の性能安定性について(アフェレシス療法における新しいmodality)
- 36 単純血漿交換施行時の臨床検査値の変化
- 小児用補助循環システムの温度特性に影響を与える管理条件の検討
- 呼吸器回路内汚染が回路外に及ぼす影響
- 電気メスによる上肢の異常運動と臀部熱傷を生じた症例
- 電気メスにおける整流と臀部に熱傷をきたした症例
- PP-070 膀胱尿路上皮癌micropapillary variant 3症例の臨床的検討(発表・討論,一般演題ポスター,第99回日本泌尿器科学会総会)
- 臨床の補助循環管理における人工肺ガス相入口圧測定の有用性の検討
- 静脈還流の促進による透析低血圧症の予防効果
- 静脈還流の促進による透析低血圧症の予防効果
- 「透析中」における内シャント血流量と実血流量の変動要因に関する研究
- 行動と心身状態の関係:携帯電話の操作量と睡眠時間と心理検査の比較
- 「透析中」における内シャント血流量と実血流量の変動要因に関する研究
- 超音波検査による内シャント血流機能評価は「透析中」でも実施可能か?
- 超音波検査による内シャント血流機能評価を透析中に実施するための条件の抽出
- 超音波検査による内シャント血流機能評価は「透析中」でも実施可能か?