根尖性歯周炎が原因と考えられたFusobacteriumによる肝膿瘍の1例
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概要
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症例は42歳,男性.発熱,全身倦怠感で発症,近医を受診し,肝機能障害を指摘され当院に紹介となった.肝胆道系酵素の上昇を認め,造影CTにて肝後区域に70×60 mm大の単発性膿瘍を認めた.経皮経肝膿瘍ドレナージにて腐敗臭のある膿性排液を認め,培養結果からFusobacterium speciesによる肝膿瘍と判明した.抗菌薬使用により,腹部超音波画像上も膿瘍の縮小を認め,入院第17病日に退院した.その後,経口抗菌薬に変更し8週間にわたり内服し,腹部造影CTにて膿瘍の消失が確認された.Fusobacteriumは偏性嫌気性の無芽胞グラム陰性桿菌で,人の口腔・咽頭・腸管に常在している.感染巣の検索として,口腔内,下部消化管の検査を行った結果,根尖性歯周炎を認め,抜歯を行った.化膿性肝膿瘍の診療では,自覚症状の有無に限らず,口腔領域を含めた全身検索が必要であるとともに,Fusobacterium speciesのような常在菌も起因菌となりうることを念頭に置くことが重要である.
著者
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吉澤 要
国立病院機構信州上田医療センター 消化器内科
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吉澤 要
国立病院機構信州上田医療センター消化器内科
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藤森 一也
国立病院機構信州上田医療センター 消化器内科
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藤森 一也
国立病院機構信州上田医療センター消化器内科
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丸山 康弘
国立病院機構信州上田医療センター 消化器内科
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丸山 康弘
国立病院機構信州上田医療センター消化器内科
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丸山 雅史
国立病院機構信州上田医療センター 消化器内科
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宮澤 英樹
国立病院機構信州上田医療センター歯科口腔外科
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藤田 識志
国立病院機構信州上田医療センター消化器内科
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滋野 俊
国立病院機構信州上田医療センター消化器内科
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田中 宏和
国立病院機構信州上田医療センター歯科口腔外科
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滋野 俊
国立病院機構信州上田医療センター 消化器内科