肺癌での化学療法継続に関する終末期医療の特徴―他の固形癌との比較―
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概要
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目的.化学療法の継続を含む終末期医療について癌腫別に比較し,肺癌の特徴を明らかにした.対象と方法.対象は一次治療以上の化学療法を行い,2007年から2009年の間に当院で死亡した肺癌131例,胃癌69例,大腸癌36例,乳癌30例,婦人科癌17例,造血器腫瘍92例.方法は化学療法の継続期間,死亡前の最終入院の理由,看取り場所について後ろ向きに検討した.結果.死亡1か月以内の化学療法例は造血器腫瘍で67%と最も多く,次いで肺癌,乳癌,胃癌,大腸癌,婦人科癌の順であった.化学療法終了から死亡までの中央値は肺癌で42.0日と,大腸癌の131.0日や婦人科癌の100.0日に比べ短かった(P<0.006).最終入院の理由は,肺癌で呼吸不全が,胃癌と大腸癌で食欲低下が最も多かった.看取り場所としての緩和病棟は婦人科癌で71%と最も多く,次いで大腸癌,胃癌,乳癌,肺癌,造血器腫瘍の順であった.非小細胞肺癌での看取り場所別の一般病棟と緩和病棟との比較で,化学療法終了から死亡までの期間は一般病棟が36.0日と,緩和病棟の177.0日に比べ短かった(P<0.001).結論.固形癌の中で肺癌は終末期医療の質が最も低く,化学療法の適切な中止時期が要求される.
著者
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北原 良洋
国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター呼吸器科
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吉田 敬
国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター呼吸器科
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中野 喜久雄
国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター呼吸器内科
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砂田 祥司
国立病院機構呉医療センター緩和ケア科
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難波 将史
国立病院機構呉医療センター呼吸器科
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北原 良洋
国立病院機構呉医療センター呼吸器科
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