高速処理・メンテナンス低減に向けたシックナーモデル乾式比重分離装置の開発
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概要
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著者らは固気流動層を用いてシックナーをモデルとした乾式比重分離装置を新規に開発した.本装置は比重の異なる試料を層内で浮揚あるいは沈降させることによって分離でき,それらを溢流と排出流によって装置外に取り出す仕組みである.この取り出し機構は層内に可動部や移動部をもたないことから,高速分離処理かつメンテナンス低減が期待できる.本装置を用いて溢流/排出流の比と分離試料投入速度が分離性能に及ぼす影響を検討した.流動化媒体にはシリカ砂を用い,分離試料としては直径 20 mm の比重の異なる球を用いた.溢流/排出流の比が0.44以下の場合は流れがない場合と比べて,浮沈境界比重がやや低下したが,浮沈のシャープネスは同じ値を示した.一方,溢流/排出流の比が0.64以上の場合は,浮沈境界比重は流れがない場合とほぼ同じ値を示したが,浮沈のシャープネスが悪化する傾向となった.次に溢流/排出流の比が0.44の条件で試料投入速度を変化させたところ,試料投入速度が 0.035 kg/s(流動層単位断面積当たりの体積換算処理速度=2.2 m3-object/(m2·h))以下の場合は,ニュートン効率が0.9以上という非常に高い分離効率が得られた.従来の装置と本装置の単位断面積あたりの処理速度を比較したところ,本装置の処理速度が約3.4倍であることが明らかとなった.よって,本取り出し機構は高速分離処理とメンテナンス低減の点で有用であることが示唆された.
著者
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押谷 潤
岡山大学大学院
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後藤 邦彰
岡山大学大学院 自然科学研究科
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吉田 幹生
岡山大学大学院 自然科学研究科
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吉田 幹生
岡山大学大学院自然科学研究科 化学生命工学専攻
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岡本 健太
岡山大学大学院自然科学研究科 化学生命工学専攻
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白石 貴史
岡山大学大学院自然科学研究科 化学生命工学専攻
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押谷 潤
岡山大学大学院自然科学研究科 化学生命工学専攻
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