W5-3 ブレオマイシン誘発肺臓炎モデルにおける制御性B細胞の検討
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概要
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【背景】B細胞は抗体産生以外に多彩な機能を有しているが,近年,炎症をコントロールする制御性B細胞に注目が集まっている.しかし,肺線維化における制御性B細胞の役割は明らかではない.【目的】ブレオマイシン誘発肺臓炎モデルを用いて,肺線維化における制御性B細胞を含めたB細胞の役割を検討した.【方法と結果】B細胞を除去する抗CD20抗体を事前に投与してB細胞を除去したマウスにブレオマイシンを投与したところ,コントロール抗体を投与したマウスに比べ肺の線維化は増悪していた.一方,ブレオマイシンを投与した3日後の炎症期に抗CD20抗体を投与したマウスでは,コントロール抗体を投与したマウスに比べ肺線維化が軽減した.遺伝的にB細胞を欠損したマウスにブレオマイシンを投与したところ,野生型マウスに比べ肺の線維化は増悪したが,事前に野生型マウスの制御性B細胞(B220+CD5+CD1dhigh B細胞)を移入することで,増悪した肺の線維化は野生型マウスと同程度まで軽減した.一方,非制御性B細胞(B220+CD5lowCD1d− B細胞)を移入しても肺の線維化は抑制されなかった.【結語】肺の線維化においてB細胞の役割には2面性があり,発症期では主に制御性B細胞が炎症をコントロールする一方,炎症期ではB細胞は炎症を促進する役割を有していることが示唆された.これらの知見は,肺線維化の新たな治療戦略を考える上で有益であると考えられた.
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