サルモネラ感染による卵巣膿瘍を呈した卵巣粘液性境界悪性腫瘍の1症例
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概要
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サルモネラ菌の感染により卵巣膿瘍を呈した卵巣境界悪性腫瘍の1例を経験したので報告する.症例は10歳代後半で性交歴のない女性で,2日前より下腹部痛と発熱を自覚するようになったため近医内科を受診し,婦人科疾患が疑われたため当科を受診した.骨盤MRI検査にて下腹部を占拠する多房性嚢胞性腫瘤を認め,症状の経過や理学所見が強いことなどから卵巣膿瘍や卵巣腫瘍茎捻転を疑って緊急で試験開腹術を行ったところ,腫瘤は右卵巣由来の腫瘍であり一部の嚢胞が膿瘍化していた.右付属器摘出術を施行して手術を終え,抗菌薬を投与したところ術後には速やかに解熱した.卵巣の嚢胞内容液の細菌培養にてSalmonella sandiegoが検出され,病理組織診では卵巣膿瘍を伴う粘液性境界悪性嚢胞腺腫であった.後に便中にも同菌が検出され,腸管内のサルモネラ感染より血行性に卵巣の嚢胞内に感染したものと推測された.〔産婦の進歩65(1):64-68,2013(平成25年2月)〕
著者
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小林 浩
Department of Obstetrics and Gynecology, Nara Medical University
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大井 豪一
Department of Obstetrics and Gynecology, Nara Medical University
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新納 恵美子
Department of Obstetrics and Gynecology, Nara Medical University
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山田 嘉彦
Department of Obstetrics and Gynecology, Yao Municipal Hospital
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吉田 昭三
Department of Obstetrics and Gynecology, Nara Medical University