新規高リン血症治療薬ビキサロマー(キックリン®カプセル)の薬理学的特性および臨床試験成績
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概要
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ビキサロマー(キックリン®カプセル)はリン酸吸着ポリマーであり,透析中の慢性腎不全患者における高リン血症の治療薬として本邦で使用されている.ビキサロマーはリン酸溶液を用いたin vitro試験およびブタ消化物を用いたex vivo試験においてリン酸を吸着することが確認された.正常ラットでの検討では,ビキサロマーの混餌投与により用量に応じた尿中リン排泄量の減少および糞中リン排泄量の増加が確認された.高リン血症を伴うchronic kidney disease(CKD)モデルラットにおいてはビキサロマーの混餌投与により血漿リン濃度を低下させることが確認された.以上の試験結果より,ビキサロマーは消化管内で消化物中のリン酸を吸着し,糞中に排泄することで,CKDモデル動物で生じる血漿リン濃度の上昇を抑制することが示唆された.さらに,ビキサロマーはセベラマー塩酸塩,コレスチミドに比較して水分吸収量が少なく,吸収した際の膨潤体積も小さかった.本邦で実施された臨床試験では,血清リン濃度低下作用を主要評価項目とした第III相比較試験において,既存治療薬のセベラマー塩酸塩に対する非劣性が確認され,52週間の長期試験において血清リン低下作用が持続することが確認された.安全性において,便秘や腹部膨満感などの消化器系の有害事象の頻度が同種のポリマー製剤であるセベラマー塩酸塩よりも低いことが確認された.以上,非臨床試験および臨床試験の結果から,ビキサロマーは消化管からのリン酸吸収を抑制することで,血中リン濃度低下作用を示す薬剤であることが示された.また,便秘などの消化器系副作用が少ないことが示されており,ビキサロマーの膨潤の程度が小さい特性が寄与している可能性が示唆された.
著者
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角田 裕俊
アステラス製薬株式会社 研究本部 薬理研究所
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内田 渡
アステラス製薬株式会社 研究本部 薬理研究所
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加来 聖司
アステラス製薬株式会社 研究本部 薬理研究所
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戸村 裕一
アステラス製薬株式会社 研究本部 薬理研究所
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谷口 圭一
アステラス製薬株式会社 研究本部 薬理研究所
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