カーボンブラック存在下におけるビニルモノマーの遊離ラジカル重合
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概要
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過酸化ベンゾイル (BPO) やアゾビスイソブチロニトリル (AIBN) を用いて, ファーネスブラックの存在下でビニルモノマーの重合反応を調べた. このような反応では, 開始剤の分解で生成する遊難ラジカルがカーボンブラックに作用し, その固有の不対電子とは別に, 粒子表面に新しい活性点を与え, 次いで, この活性点が遊難ラジカル及び生長しつつあるポリマーラジカルのいずれかを捕らえる.特に, BPOを用いる重合反応では, モノマーのe値が正であると, 緩やかな禁止作用が現れ, 次いで, 重合促進性を示したが, e値が負であると著しい遅延現象のみが観察された. このような現象は, 新しく生まれた粒子表面の不対電子に強い電子受容性があるためであろう. 一方, AIBNを開始剤として用いると, モノマーのe値による差違は目立たなかった.<BR>なお, 重合反応はふん囲気によって影響を受けるが, とりわけ酸素が存在すると, 粒子表面にはキノン基又はキノンラジカルが新しく生まれ, BPOを開始剤に選ぶと, この傾向が著しく, これらの官能基が生長しつつあるポリマーラジカルを捕らえるために, ホモポリマーの生成反応が妨害を受けた.
著者
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坪川 紀夫
Faculty of Engineering, Niigata University
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大北 熊一
Faculty of Engineering, Niigata University
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高科 直光
High Polymer Laboratory, Mitsubishi Gas Chemical Company, Inc.