カーボンブラック粒子表面の酸素含有基とスチレンの熱重合
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概要
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アゾビスイソブチロニトリル (AIBN), アゾビスジメチルバレロニトリル (ABN-V), ジアゾメタン及び水素化ホウ素ナトリウムなどで粒子表面を処理したPhilblack Iの存在下で, 窒素ガスのふん囲気に保ち90℃でスチレンの熱重合反応を調べた.AIBNの処理では2.66×10<SUP>20</SUP>/gのシアノプロピルラジカルが粒子表面に結合したが.同じような条件下でABN-Vを用いて処理すると, わずかに0.89×10<SUP>20</SUP>/gの窒素含有基が結合したに過ぎなかった.このような差異は.ABN-Vの熱分解で生まれるかさ高い遊離ラジカルのほうがシァノプロピルラジカルよりも粒子表面へ接触しにくいことを示している.しかしながら, スチレンの熱重合では1両者ともに同じ誘導期を持ち, 重合促進性にも差を認めなかった.ところで, AIBN, 次いでジアゾメタンで処理すると誘導期が短かくなるが, 粒子表面を水素化ホウ素ナトリウムを用いて還元すると, 逆に誘導期が長くなり, その後で観察される促進性も目立ってきた.それゆえに, 粒子表面のキノン型酸素は重合禁止剤として作用し, ヒドロキノン基には, 禁止作用とともに促進性のあることが確かめられた.
- 一般社団法人 日本ゴム協会の論文
著者
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野田 雅之
Faculty of Engineering, Niigata University
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斎藤 英一
Faculty of Engineering, Niigata University
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坪川 紀夫
Faculty of Engineering, Niigata University
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大北 熊一
Faculty of Engineering, Niigata University
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江口 宏喜
Faculty of Engineering, Niigata University