対人関係の親疎とコミュニケーションメディアの選択に関する研究
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概要
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CMCにおける対人関係については、これまで多くの研究が蓄積されてきた。親密な関係が構築される条件を探ったものもあれば、コミュニケーション内容とメディアとの適切な組み合わせを指南したものもある。しかし、対人関係の親密度そのものがコミュニケーションメディアの選択にどのような影響を与えているかについては未だ充分に検討されていない。本論文は、親密度という社会的文脈を組み込んだメディア利用調査を行い、対人関係の親密度がコミュニケーションメディアの選択に大きく関わっていることを明らかにするものである。本論文では、3水準 (高親密、中親密、低親密) ×3水準 (対面、携帯電話、携帯メール) の9条件を設定して、930名の大学生にいずれかの条件における日常的コミュニケーションについて回答してもらう質問紙調査を実施した。調査結果は、対人関係の親密化とともに全てのメディアで全人格的なコミュニケーションが行われることを示すものであったが、同時に、実際のメディア利用が必ずしもメディア特性に従って行われないこと、対人関係の親疎によってメディアの位置付けが異なることも見出せた。大学生は「メール」を複雑なタイプのコミュニケーションにも利用しており、全般的に「電話」より「メール」を多用していた。さらに、「深い自己開示」では、親密度が高くなれば「メール」利用が「電話」利用を逆転するという交互作用も生じていた。「メール」の社会的・文化的位置付けが高いということ、あるいは親密度によってメディアの位置付けが異なるという発見は、実際のメディア利用を理解する際には、単純なメディア特性ではなく、社会的構築性に基づく説明が有用であることを示唆するものである。
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