多発転移に対してソラフェニブ(ネクサバール®)で加療するも急激な転帰をとった悪性末梢神経鞘腫(Malignant peripheral nerve sheath tumor,MPNST)の1例
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概要
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49歳女性,神経線維腫症1型。思春期から全身に神経線維腫が多発。初診数ヵ月前より,背部と左腋窩の腫瘍が痛みを伴い急速に拡大し,高松赤十字病院を受診。背部腫瘍の生検結果は神経線維腫だった。加療目的で当科紹介。初診時,背部と左腋窩に手拳大の皮下腫瘤を認めた。当院形成外科にて,2ヵ所とも切除された。病理検査では背部腫瘤は悪性末梢神経鞘腫,左腋窩の腫瘤はそのリンパ節転移と判明した。画像検査で多発骨・リンパ節転移があり,アドリアマイシン,イホスファミド併用療法を3クール施行も転移は増大。化学療法に反応がなかったためソラフェニブ内服(800 mg/日)を開始したが,転移巣は漸次拡大した。ソラフェニブが原因と思われる肝障害,黄疸が出現し内服を中止した。中止後,転移巣は急速に拡大し,多臓器不全のため中止より2ヵ月後に永眠。本邦では悪性末梢神経鞘腫に対するソラフェニブ使用例は過去になく,文献的考察を含めて報告する。
著者
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横井 郁美
香川大学医学部皮膚科学教室
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森上 純子
香川大学医学部皮膚科学教室
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細川 洋一郎
香川大学医学部皮膚科
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石川 絵美子
香川大学医学部皮膚科
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田中 嘉雄
香川大学医学部形成外科
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窪田 泰夫
香川大学医学部皮膚科
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窪田 泰夫
香川大学医学部
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木暮 鉄邦
香川大学医学部形成外科
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池田 政身
高松赤十字病院
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森上 純子
香川大学医学部皮膚科
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