冠静脈洞との交通を合併した三心房心の1例
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概要
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冠静脈洞と交通がみられた三心房心の1例を報告する. 症例は9カ月, 女児. 発育良好であったが, 活気低下, 哺乳量低下, 咳嗽を主訴に当院小児科受診. 心エコー, MRIなどにより重症肺高血圧を伴った三心房心(IA型), 心房中隔欠損と診断し, 心内修復術を施行した. 術中所見から副腔と真の左房に交通口を認めたが, 副腔と右房が冠静脈を介して交通しており, 心房中隔欠損は認められなかった. 左上大静脈を伴わないpartially unroofed coronarysinusを伴った三心房心(IB1型)と診断し, 隔壁除去および冠静脈と副室の交通孔の閉鎖が行われた. 本例では三心房心にunroofed coronary sinusが合併し, しかも副腔と交通していた点が特徴的であった.<BR>三心房心の発生において融合異常説が最も有力だが, 本例において融合異常説単独では副室に冠静脈洞が交通していることが十分説明できないことから, 三心房心全体を単独の発生仮説で理解することは困難であり, 病型に応じた新たな発生機転を考慮する必要がある.
著者
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菅野 幹雄
国立病院機構香川小児病院心臓血管外科
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川人 智久
国立病院機構香川小児病院心臓血管外科
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江川 善康
国立病院機構香川小児病院心臓血管外科
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寺田 一也
国立病院機構香川小児病院 心臓血管外科
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太田 明
国立病院機構香川小児病院 小児科
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宮城 雄一
国立病院機構香川小児病院小児科
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宮城 雄一
国立病院機構香川小児病院循環器科
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辻井 信之
国立病院機構香川小児病院循環器科
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寺田 一也
国立病院機構香川小児病院循環器科
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