PCPSが救命に有効であったショック合併右室梗塞の1例
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概要
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症例は87歳, 男性. 主訴は失神. 歩行中に突然意識消失し転倒したため救急要請あり, ショック状態とのことで当院救命救急センターに搬送された. 来院時, 意識はほぼ清明であったもののショック状態は持続していた. 顔面外傷, 左外耳道からの出血あり. 心電図上, 完全房室ブロックで心拍数40/分, II, III, aVF, V4R~6RでのSTの著明な上昇があり, 心エコーでは下壁の壁運動低下に加え右室の壁運動低下も認め, 右室梗塞を合併した下壁梗塞と診断した. 顔面外傷があり, 右外耳道, 口腔からの出血を認めていたため頭部CTを撮影したが, 頭蓋内に明らかな出血はなく, 緊急冠動脈造影施行. 右冠動脈近位部に完全閉塞を認めた. 経皮的冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention; PCI)を施行し再灌流後, 徐脈は改善したものの, カテコラミン投与下においてもショック状態は持続した. 外傷による大量出血のため, それまで使用を控えていた大動脈バルーンパンピング(intra aortic balloon pump; IABP)を挿入したが, 依然血圧は低値のままであった. 術後より確実な抗凝固療法が必要となるが, 救命のためにやむを得ないと判断しPCPSを挿入. 血圧の安定を得たが, PCI術後経過中外傷性出血のため合計12単位の赤血球輸血を要した. その後循環動態は順調に回復し, 独歩退院した. ショックを伴う右室梗塞は, 早期再灌流療法に加えてPCPSによる補助循環を含めた集学的治療を念頭に, 治療戦略を検討すべきと考えられた.
著者
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坂本 宗久
国立病院機構東京医療センター循環器科
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布施 淳
国立病院機構東京医療センター循環器科
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樅山 幸彦
国立病院機構東京医療センター 循環器科
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樅山 幸彦
国立病院機構東京医療センター循環器科
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池上 幸憲
国立病院機構東京医療センター循環器科
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石井 聡
国立病院機構東京医療センター循環器科
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鈴木 優実
国立病院機構東京医療センター循環器科
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久保田 芳明
国立病院機構東京医療センター循環器科
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小野 智彦
国立病院機構東京医療センター循環器科
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前淵 大輔
国立病院機構東京医療センター循環器科
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