急性心筋梗塞に対する経皮的冠動脈インターベンション後に発症した造影剤腎症の頻度と予後について

概要

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背景: 造影剤腎症は緊急冠動脈インターベンション時に発症リスクが高く, また腎症を呈した症例の予後は不良であると報告されている. 本研究では, 急性心筋梗塞 (acute myocardial infarction; AMI) に対する経皮的冠動脈インターベンション (percutaneous coronary intervention; PCI) 後における造影剤腎症の頻度と, 院内予後について検討した.<BR>方法: AMIに対しPCIを施行した178症例を対象として, 造影剤使用前後および退院時の腎機能を評価した. 狭心症に対して待期的にPCIを施行した140症例を対照群として, 造影剤腎症の頻度について比較した.<BR>結果: 両群で造影前の血清クレアチニン濃度, 推算糸球体濾過量に差はなかったが, 緊急PCI群では待期的冠動脈形成術群に比較して, 使用造影剤量は多く (p<0.0001), 左室駆出率は低く (p<0.005), 造影剤腎症を呈する症例は有意に多かった (p<0.0001). 緊急PCI群で造影剤腎症を呈した症例では, 退院時にも腎機能低下は遷延していた (p<0.0001).<BR>結論: AMIに対するPCI時には, 造影剤腎症の発症頻度が高く, 発症した場合には腎機能低下は遷延する. 緊急時という状況を考慮すると困難ではあるが, 待期的治療時以上に, 造影剤腎症の予防に留意する必要がある.