臀部へ脊髄刺激装置を植え込み,痛みの管理を行った脊椎術後症候群の1症例
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本邦における脊髄刺激発生装置(IPG)は腹部に植え込むのが一般的である.臀部へのIPG植え込みは,手術の侵襲度,患者のQOL,美容の点から優れており欧米では積極的に適応されている.しかし日本人の臀部は小さく,坐骨高も低く解剖学的な観点より適さない方法と考えられていた.今回,2010年に本邦での適応が認められた世界最小のIPGであるEon MiniTMを臀部に植え込み,脊髄刺激療法による痛みの管理を行った症例を経験したので報告する.症例は41歳女性で10年前に腰椎椎間板ヘルニアの手術を行い,その後痛みが再燃したため神経ブロックや薬物療法による治療を行ったが,鎮痛効果が乏しく脊髄刺激療法を適応することとなった.既婚者で挙児希望であり,美容面も考慮して,腹部への植え込みを回避し臀部へのIPG植え込みを行った.10カ月経過した現在も,臀部の植え込み部の違和感なく高い鎮痛効果を認めている.高性能で小さなIPGの出現により,日本人においても臀部へのIPG植え込みによる脊髄刺激療法を積極的に行うことが可能となった.
著者
-
村川 和重
兵庫医科大学 麻酔科
-
柳本 富士雄
三田市民病院麻酔科
-
長尾 嘉晃
三田市民病院麻酔科
-
藤井 あかり
三田市民病院麻酔科
-
大杉 聡宏
三田市民病院麻酔科
-
二木 美由希
三田市民病院麻酔科
-
長尾 嘉晃
三田市民病院麻砕科
-
二木 美由希
三田市民病院麻砕科
-
大杉 聡宏
三田市民病院麻砕科
-
柳本 富士雄
三田市民病院麻砕科
関連論文
- ベル麻痺患者にみられる疼痛について : 咀嚼筋症候群を続発したベル麻痺症例
- 顔面神経の組織循環に及ぼす交換神経機能の影響 (助成研究報告)
- 循環改善による神経再生の促進
- プロスタグランディンE1の顔面筋肉への循環改善効果について
- プロスタグランディンE1の顔面神経組織血流量に及ぼす影響
- 硬膜外脊髄刺激機器 (最近話題の疼痛治療領域関連機器)
- Ramsay Hunt 症候群の臨床症状について : 疼痛の随伴を中心として
- 両側同時性顔面神経麻痺の4例
- Bell 麻痺の発症機序に関する一考察
- 顎関節鏡視下手術後の口腔底および咽頭部腫脹による気道閉塞が懸念された1例 : CT検査による上部気道の観察
- 癌性疼痛などの3症例
- 脊髄刺激装置(痛み治療に使用されている最近の機器)
- 口底癌術後に生じたNeuropathic painの1例
- ラリンゲルマスクの口腔外科手術における適応 : 口腔内分泌物の気管側への漏洩および術後合併症に関する検討
- 硬膜外脊髄刺激療法の現状と適応
- 「硬膜外麻酔は安全か?」によせて
- 術後鎮痛における末梢神経ブロック併用全身麻酔の有用性
- 最近の疼痛治療について
- 日本ペインクリニック学会第40回大会を主催するにあたって
- 神経因性疼痛に対するフレカイニドの鎮痛作用に関する検討 : メキシレチン内服効果が不十分な症例に対するフレカイニドの鎮痛効果
- 脊髄刺激療法による痛みの治療
- 慢性頸肩部筋原性疼痛 (重度の肩こり) 患者に対するボツリヌス毒素療法の有効性
- 内視鏡下手術の麻酔 (トピックス)
- 呼吸状態が顔面神経の微小循環に及ぼす影響 (助成研究報告)
- 骨粗鬆症患者の疼痛について (トピックス 骨粗鬆症について)
- 新しい鎮痛法 (トピックス 新しい治療)
- プロスタグランディンE1の総頚動脈血流量に及ぼす影響
- ペインクリニック診療における医療安全のアンケート調査 : 専門医指定研修施設の現状と課題
- 末梢性神経障害性疼痛に対するPregabalinの費用対効果分析
- 星状神経節ブロックが顔面神経麻痺患者の顔面皮膚組織血流量に及ぼす影響
- 星状神経節ブロックが顔面神経麻痺患者の鼓膜温に及ぼす影響
- 低換気による高炭酸ガス血症と頚部交感神経幹の化学的遮断が顔面神経の組織循環に及ぼす影響
- 頸部交感神経幹の電気刺激と化学的遮断が顔面神経の組織循環に及ぼす影響
- ウサギを用いた虚血性顔面神経麻痺モデルの開発
- P-0267 がん性疼痛治療におけるプレガバリンの臨床的評価(一般演題 ポスター発表,がん薬物療法(緩和ケア),Enjoy Pharmacists' Lifestyles)
- 臀部へ脊髄刺激装置を植え込み,痛みの管理を行った脊椎術後症候群の1症例
- がん性痛に対するくも膜下フェノールブロックの鎮痛効果についての検討
- 腎部へ脊髄刺激装置を植え込み, 痛みの管理を行った脊椎術後症候群の1症例
- 脊髄刺激療法による痛みの治療