結紮切除術・術後疼痛に対する芍薬甘草湯のNSAIDs上乗せ鎮痛効果―無作為割付による比較検討―
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概要
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目的:結紮切除後の疼痛に対して芍薬甘草湯による非ステロイド系鎮痛剤(以下NSAIDs)上乗せ鎮痛効果をみる.対象と方法:2011年8月31日までに結紮切除術(LE)を3ヶ所以上施行した痔核,粘膜脱症例を対象としdiclofenac sodium(ボルタレン<SUP>®</SUP>)75mg/日・分3経口投与に芍薬甘草湯(TJ-68)7.5g/日・分3上乗せ経口投与を無作為に「投与なし」と「投与あり」の2群に分けて行い,prospectiveに検討した.術後に調査表を患者に渡し,術当日から術後9日目まで自己表記させた.検討した項目は疼痛スコア,疼痛の種類,疼痛スコアが3点以下になるまでの日数,安静時の疼痛が消失するまでの日数,疼痛による夜間覚醒の有無,注射鎮痛剤使用の有無,NSAIDs(座薬,内服薬)追加使用の有無について調査した.結果(投与なし/投与あり):例数は21例(女性13例)/18例(女性11例),年齢は49.3±15.3/53.0±13.6歳で年齢と性別に有意差は認めなかった.疼痛スコアは術当日を除く術後1日目から9日目でいずれも「投与あり」群で有意に小さかった.また,疼痛スコアが3点以下になるまでの日数は平均5.2日/2.1日であり,注射鎮痛剤使用の有無は10例(48%)/3例(17%)で有意差を認めた.しかし,安静時の疼痛が消失するまでの日数は平均2.2日/2.1日,NSAIDs(座薬,内服薬)追加使用の有無は6例(29%)/2例(11%),疼痛による夜間覚醒の有無は12例(57%)/8例(44%)で有意差は認めなかった.結語:3ヶ所以上の結紮切除術後疼痛に対する芍薬甘草湯のNSAIDs上乗せ投与は効果があり,明日からでも施行可能な簡便で有益な方法だと思われる.
著者
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三嶋 秀行
国立大阪医療センター外科
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池永 雅一
国立大阪医療センター外科
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安井 昌義
国立大阪医療センター外科
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中森 正二
国立大阪医療センター外科
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辻仲 利政
国立大阪医療センター外科
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宮崎 道彦
どうじん会道仁病院大腸肛門科
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田中 玲子
どうじん会道仁病院大腸肛門科
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