2. 神経伝達物質
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概要
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最近, 多くのペプチドが中枢および末梢神経系において伝達物質ではないかと考えられている。これらのペプチドはsubstance P, enkephalins, somatostatin, TRH, LHRH様ペプチド, angiotensin II, neurotensinなどであって, ペプチド性伝達物質の概念は比較的最近のものである (表1) 。併し, 内分泌細胞の多くがペプチド性ホルモンを分泌すること, ホルモン分泌と伝達物質の分泌とが類似した現象であること, noradrenalineのようにホルモンであると同時に伝達物質であるものもあること, などを考えあわせると, ペプチドが伝達物質として働いていることはむしろ当然とも思われる。一方, これまでに確立した伝達物質の分子量は100~200であるので, 神経系が何故単なる興奮性あるいは抑制性のシグナルの伝達のために分子量1000以上の多種類のペプチドを用いなくてはならない必然性があるかは十分理解されていない。つまり, ペプチド性伝達物質 (もし上記の多くのペプチドが伝達物質であるならば) の作用様式が従来の伝達物質acetylcholine, GABAなどと同種のものか, 異種のものかは今後の興味ある問題である。ここでは伝達物質として証拠が比較的揃っているsubstance Pについてわれわれが最近行なった研究を中心に述べ, enkephalins, LH-RH様ペプチドについても最近の知見を紹介する。
- 一般社団法人 日本内分泌学会の論文