各種疾患における血中Receptor Assayable ILAの測定に関する研究
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概要
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酸性ゲル濾過とインスリンのラジオレセプターアッセイ (RRA) を用いて血中Receptor Assayyable Insulin-Like Activity (RA-ILA) を各種疾患において測定した。小分子のILAを結合蛋白から分離して測定するために, 前処置として血清をSephadex G-50で酸性ゲル濾過した。インスリンRRAは, トレーサーとして<SUP>125</SUP>I-ブタインスリンを, スタンダードとしてブタインスリンを, レセプターとして妊娠末期モルモットの腎臓を可溶化して用いてアッセイを行なった。血清をゲル濾過した各分画のうち<SUP>125</SUP>I-インスリンの放射活性にほぼ相当する分画をプールし, RRAを行なった。<BR>対象は正常対照群 (n=19) の他, 末端肥大症 (6), シーハン症候群 (5), 肝硬変症 (7), 慢性腎不全 (10), インスリン非依存型糖尿病 (6), 甲状腺機能亢進症 (5) およびネルソン症候群 (1) の計59例であった。健康成人のRA-ILAは平均40.2±12.2ng/ml (n=19) であった。インスリンRRAは, アッセイ間のばらつきが大きいので, これを均等化するために各測定値を正常者のRA-ILAの平均値に対する比で表わし, RA-ILA ratioとした。その場合, 正常対照群は1.00±0.28となるが, 末端肥大症の6例中4例は高値を示し, 平均1.30±0.28 (P<0.015) また, シーハン症候群では0.30±0.12 (P<0.001) と低値を示したことよりGH依存性が示唆された。しかしGHとRA-ILAとの直接の相関は認められなかった。よってRA-ILAはGH以外の多くの因子に影響されていると考えられた。その他の疾患では肝硬変症で0.46±0.31 (P<0.001) と低値を示し, 慢性腎不全で1.59±0.45 (P<0.05) と高値を示した。また糖尿病, 甲状腺機能亢進症およびネルソン症候群では正常者との差は認められなかった。
- 日本内分泌学会の論文