電気工学の用語の使い方を考える
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概要
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エジソンやジーメンスらの努力の結果、電気工学という学問と技術の分野が誕生した。その後、この技術が日本に伝わり、根付いた。ここに、英語やドイツ語で示された技術を日本語で普及させる過程があった。この過程における重要な事項の一つが、外国語の専門用語を適切な日本語に翻訳することである。しかし、この翻訳の全てが適切に行われた訳ではない。一つの外国語に対する複数の日本語の存在や、翻訳後の用語の不適切な使用が続いている。電気工学の分野におけるその典型的な例が“Full wave rectification”に対応する“両波整流”である。“Full wave rectification”は、交流を直流に変換するための整流回路に関する用語であるが、翻訳に関する他の幾つかの例に従えば、“全波整流”と訳すのが適切である。しかし、実際にはそれら2つの日本語が併用されている。本論には、単相交流の整流に関する英語と日本語の関係、日本語の用語の使用に関する歴史と現状が概説されている。また、整流回路を分類する簡潔で合理的な方法が提案されている。整流の方法は、最初に“半波整流”と“全波整流”に分け、次に後者を“センタータップ型”と“ブリッジ型”に分けるのが適切と考えられる。また、このような分類の方法が英語による国際標準に合っているようである。