室内空気中フタル酸エステル類の測定
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概要
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室内空気のフタル酸エステル類による汚染実態を明らかにする目的で, 1999年12月~2000年10月の冬期及び夏期に, 東京都内の住宅 (46軒, 92室), オフィスビル (25棟, 50室) の室内空気及び外気 (52ヵ所) のフタル酸エステル類濃度を調査した。<BR>その結果, 室内から8種のフタル酸エステル類が検出され, フタル酸ジ-n-ブチル (DnBP) (78.4~7, 220ng/m3) 及びフタル酸ジ-2-エチルヘキシル (DEHP) (10.8~2,380ng/m3) は他に比べて高濃度だった。室内で高頻度に検出された物質は, フタル酸ジメチル (DMP), フタル酸ジエチル (DEP), フタル酸ジイソブチル (DiBP), DnBP, フタル酸ブチルベンジル (BBP) 及びDEHPの6種で,室内と外気とを比較すると, 前述の6物質はBBPを除き室内の方が4.3~45.6倍高濃度であった。住宅とオフィスビルを比較すると, DEP, DiBP及びDnBPはオフィスビルの方が有意に高濃度だった。室温と濃度については, DnBP及びDEHPを含む数種のフタル酸エステル類で有意な正の相関がみられ, 冬期と夏期の濃度を比較すると, 住宅では季節による濃度変動が大きかった。また, 室温4.9℃~31.2℃の範囲において, DMPは91%以上がガス状, DEHPは85%以上が粒子状物質として捕集されていた。これに対して,DEP, DiBP, DnBP及びBBPでは,室温の上昇によりガス状の割合が増加する傾向がみられた。
著者
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