食道静脈瘤からの緊急出血例に対するクリッピングの有用性について
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概要
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食道静脈瘤の緊急出血例に対し内視鏡的静脈瘤結紮術 (EVL), 1%ポリドカノールを血管内外に注入する鈴木法が広く用いられクリッピングが第一選択とされることは少ない.しかし, 緊急出血時には食道静脈瘤の虚脱のためEVLが困難な例があり, またEVL, や硬化療法後の緊急出血例では食道粘膜の線維化, 再発静脈瘤の細さのためEVL, 鈴木らの方法で止血不可能な例がある.このような例でクリッピングで止血しうる例が多数存在する.クリッピングは直視下に止血を確認でき侵襲が少なく極めて有用な方法である.当院で平成8年8月より平成9年4月までにクリッピングを用い止血した食道静脈瘤の緊急出血例は8例で, その内訳は初回出血例が2例, 再出血例が5例, Hassab法の術後が1例であった.初回出血例のうち1例は食道静脈瘤の虚脱のためEVLが困難であり, 再出血例のうち3例は硬化療法後の食道粘膜の線維化と再発食道静脈瘤の細さよりEVL, 鈴木らの方法が困難であると考えられた.止血困難例においてクリッピングは簡便で確実な止血が得られる合併症の少ない有用な方法と考えられた.
- The Japan Society for Portal Hypertensionの論文
著者
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菊池 博
八尾徳洲会病院内科
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杉田 博二
八尾徳洲会病院内科
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松下 肇
八尾徳洲会総合病院 内科
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高田 義雪
八尾徳洲会総合病院 内科
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中西 淳美
八尾徳洲会総合病院 内科
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菊池 博
八尾徳洲会総合病院内科
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松下 肇
八尾徳洲会総合病院内科
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