障害者自立支援法の下での「支え合い」
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概要
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阪神大震災以来、障害者支援活動を行ってきたNPO法人・拓人こうべの取り組み, 特に障害者自立支援法の下での「支え合い」について, ヒァリング調査に基づき事例研究を行う. 自立支援法本格施行によって、障害当事者の生活や障害者支援の現場に, 自助的自立の論理と「支え合い」の論理の相克という問題的状況が引き起こされている. 加えて, 拓人においては, 事業規模拡大による, 事業の論理とミッションの論理の相克という問題的状況も存在する. これら二重の問題的状況に対して, 強い危機感を抱く拓人は, 現在, 「対抗」と自ら表現する取り組みを行いつつある. 「対抗」の第一は. ネットワーク関係にある社会福祉法人への介護保険事業・居宅介護事業の移行である. この事業移行は, 分離した事業と拓人との有機的結合を担保した形(「重ね合わせ」)でのスリム化であり, 拓人が単独で問題的状況を「抱え込まない」ことを、社会福祉法人とのネットワークにおいて具体化した事業領域再構築と言える. 「対抗」の第二は、小規模作業所のNPO法人への「ぶら下がり」とネットワーク化の構想である. これは, 各作業所の自律性を担保しながら, NPO法人を媒介組織として間接的統合を行いつつ, ネットワーク化を図るという構想である. その上で, 事業移行後の拓人にとっても, 各作業所にとっても, 新たな事業/活動をいかに「開拓・開発」するかが重要な課題となっているのである.
著者
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