軟X線顕微鏡を用いたヒト毛髪におけるイオウ化合物の化学マッピング
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概要
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X線では元素特異的な吸収を示す吸収端が存在するが,その吸収端の近傍では,元素周囲の化学結合などの化学環境をよく反映するスペクトル (X-ray absorption near edge structure:XANES) が得られる。今回,イオウK 吸収端におけるXANES を用いたイメージングを毛髪切片に適用し,密着型軟X 線顕微鏡を用いてシスチンおよびシステイン酸の分布を調べた。パーマ処理やブリーチ処理を施した毛髪を観察したところ,システイン酸の増加を反映した鮮明な画像を得ることができ,パーマ処理では毛髪全体ほぼ均一に,ブリーチ処理ではキューティクル部位で強くダメージを受けることが推定された。毛髪の酸化ダメージを可視化できる軟X 線顕微鏡システムはヘアケア研究のツールとして有用であると思われる。
著者
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清水 教男
株式会社カネボウ化粧品 価値創成研究所
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香取 孝夫
東海大学 工学部
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井上 敬文
株式会社カネボウ化粧品 価値創成研究所
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竹原 孝二
株式会社カネボウ化粧品 スキンケア研究所
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石島 大輔
東海大学 工学部
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伊藤 敦
東海大学 工学部