下唇に発生した血管筋腫の1例
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概要
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血管筋腫は別名血管平滑筋腫ともよばれ, 1937年Stoutにより初めて報告された病変で, おもに中年女性の下肢に生じる良性腫瘍である.口腔領域ではまれであり, 本邦においては50例の報告がみられるにすぎない.中年男性に多く, 口唇, 口蓋, 歯肉, 頬粘膜が好発部位である.肉眼的には, 表在性の直径1cm内外の境界明瞭な結節として認められ, 色や硬さは血管の量により異なり, 発育は緩慢で無痛性のものが多い.今回われわれは, 66歳女性の右側下唇部に生じた血管筋腫の1例を経験した.腫瘍は直径1cmの半球状の境界明瞭な腫瘤で, 表面は滑沢で青紫色を帯び, 硬度は弾性軟で圧痛は認められなかった.良性腫蕩の臨床診断のもとに切除し, 手術後2年6か月経過した現在再発傾向もみられず, 経過良好である。ここに本症例の概要と若干の文献的考察を加えて報告した.
著者
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南雲 正男
昭和大学歯学部
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立川 哲彦
昭和大学歯学部 口腔病理学教室
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真鍋 真人
昭和大学歯学部第2口腔外科学教室
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倉地 洋一
昭和大学歯学部第2口腔外科
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三木 知
昭和大学歯学部口腔病理学教室
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北沢 道孝
昭和大学歯学部第2口腔外科学教室
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