骨形成因子の筋肉内埋入法に関する研究
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概要
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骨欠損部の回復に骨形成因子 (Bonemorphogeneticproteins : BMPs) の適用が注目されているが, そのために用いる担体については, いまだ十分に検討されていない.本研究ではBMPsを適用する場合に, 効率的に骨形成を誘導できる担体の作製法について検討した.牛脱灰骨のグアニジン塩酸抽出物をHeparin-Sepharoseaffinitychromatographyで分離し, 異所性の骨形成誘導活性を有するBMPsを得た.このBMPsと1型コラーゲンおよびハイドロキシアパタイト (HAP) の複合体を2種類の方法で作製した.複合体Aでは, BMPs, コラーゲン, HAPを単純に混合し, 複合体とした.複合体Bでは, まずBMPs溶液中にHAPを浸漬し, HAP表面にBMPsを付着させ, 次に, 浸漬後のBMPs溶液の残りとコラーゲンを混合した後, その中にBMPs付着HAPを入れ, 複合体とした.両者の方法で作製した複合体をラット大腿部筋嚢に埋入し, 10日および20日後に形態学的に検索した.その結果, 両複合体で骨・軟骨組織の形成が認められたが, 複合体Aでは直接HAPに接している所には骨・軟骨組織はわずかしか見られず, またHAP気孔中にも骨・軟骨組織は認められなかった.骨形態計測の結果, HAP表面の3%に骨組穢が接しているだけで, 多くのHAPは線維性結合組織で被覆されていた.これに対して, 複合体BではHAPに近接して骨・軟骨組織が形成されている部位が複合体Aに比べて高頻度で認められた.骨・軟骨組織がHAP表面に直接接する部位も頻繁に見られ, HAP気孔中にも骨・軟骨組織が形成されていた.骨形態計測の結果, HAP表面の14%に骨組織が接しており, 複合体Aの約2倍量の新生骨量が形成されていた.また複合体BではHAP周囲にアルカリフォスファターゼ活性陽性の細胞が増殖している部位が多かったが, 複合体AではHAP周囲で同陽性細胞の増殖は少なかった.以上の結果より, BMPsを移植する場合, HAP表面にBMPsを付着させたものを用いることにより, より効果的に骨形成を誘導できることが明らかとなった.
- 昭和大学・昭和歯学会の論文
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