下垂体前葉, 副腎皮質系ホルモンの肝並に筋糖原造成作用に関する実験的研究
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概要
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1.下垂体副腎皮質系ホルモンの肝, 筋糖質像に対する作用を見る為, 短時間内 (注射前と注射後5時間) と長期間注射 (一定量を毎日7日間注射して同一動物につき注射前と7日後の肝糖質像を比較する.) の影響を検し, 同時に比較の為insulinに就ても同様の実験をした.<BR>2. 正常並びにalloxan糖尿家兎に各種ホルモンを注射し5時間後に於ける肝総糖質量並びに糖原量はDOCA注射家兎では其の減少が稍々著明であつた. cortisone 及びACTH注射家兎では正常並びにalloxan糖尿家兎共に肝総糖量に変化なく, 糖原量に微増を証せられた.<BR>insulin家兎では肝総糖量は正常で変化なく, alloxan糖尿家兎で軽増を見, 糖原量は正常並びalloxanに糖尿家兎共に増加を見た.<BR>3. 各種ホルモン注射5時間後の筋糖質像では, DOCAとcortisoneとには軽微なglycogenolyticの作用を, insulin及びACTHには軽微なglycogenesicの作用があるのを認められた.<BR>4. alloxan糖尿家兎に対しDOCAもinsulinも稍々著明な降血糖作用を呈するが, 肝, 筋糖質像に対して此の両者は全く相反した作用を呈する. 即ち, 肝, 筋に対しDOCAはglycogenolyticに, insulinはglycogenesicに作用する. 此の結果から見るとDOCAの糖質代謝に対する作用はguanidine様作用に類すると見受けられた.<BR>5. 長期間 (7日間) 本系ホルモン並びにinsulin注射実験では, 正常並びにalloxan糖尿家兎共に肝総糖量及び糖原量に於て其の増量が最大であつたのはcortisone注射家兎であつて, 次位がinsulin注射家兎であつた.<BR>DOCAとACTHとによる影響は不定であつたが, 恐らく其の影響響は少いものと考えられる.
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