営業組織における文化的特性と業績--競争と協調のマネジメント
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概要
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営業組織は、市場と組織を結びつける境界連結活動の担い手として重要な役割を果たしているにもかかわらず分析されることが少なかった研究対象である。本研究は、この営業組織に分析の焦点を当て、組織文化と業績の関係をより具体的に検討することを目的としている。実証データに基づく分析の結果、内部競争と協調関係を同時極大化している営業組織ほど高い業績をあげており、そうした傾向は市場不確実性の大きい状況において顕著に見られることが明らかになった。この結果は、内部競争が営業活動に関するイノベーション創出を促進し、協調関係がイノベーションを普及させることによって、組織が不確実性に対処することを可能にしていると解釈できる。競争と協調の必要性は、研究開発・製品開発研究において指摘されているが、性質が異なると思われる営業部門においても同様のメカニズムが働いている可能性が示唆された。最後に、本研究の問題点と今後の課題について議論された。
- 日本商業学会の論文