病位と熱寒弁証因子-とくに年齢および尿中プロスタグランディンF1α排泄量-の関連について
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概要
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熱寒弁証因子として, 胆石症患者の尿中PGF1α排泄量 (約138ng/日以下は寒証, 以上は熱証) と乳癌患者の年齢 (約50歳以下は熱証, 以上は寒証) を指摘した。胃癌と大腸癌の患者ではこれらの因子は熱寒弁証因子ではなかった。以上の事実は疾患の病位の差, すなわち乳癌は表証, 胃癌や大腸癌は裏証, 胆石症は中間の半表半裏証であることに因るものと考えた。半表半裏証の代表である胆石症は尿中PGF1α排泄量と患者の病態生理学的状態との間の微妙な関係を示す疾患の1つであることが判明した。病位が表や裏にあるとこの関係は認められなかったが, その原因は多分その他の一層強力な因子, 例えば年齢, エネルギー代謝, 水分平衡, 内臓静脈の鬱滞などによって隠蔽されたためであろう。
- 社団法人 日本東洋医学会の論文