マウスの火傷モデルで見つかつたinterferon gamma (IFN-γ)の産生を抑制する第2のサプレッサー細胞
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概要
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われわれはこれまでに,火傷マウスや火傷マウス由来脾mononuclear cells(脾MNC)のIFN-γ応答性が,火傷の初期(火傷3-7日後)と後期(火傷3-5週後)の2度にわたつて著しく低下し,前期の低反応性がsuppressor macrophage (S-Mφ)の出現に起因する事を報告した。今回は後期のIFN-γ産生抑制状態(second suppressive state, S-SupS)出現のメカニズムについての解析を試み,若干の結果が得られたので報告する。S-SupSのマウスより得た脾MNC(火傷脾MNC)と正常マウスより得た脾MNC(正常脾MNC)とをCon A存在下で混合培養するとIFN-γの産生が抑制されたので,火傷初期に出現した抑制状態と同様,S-SupSにも何等かの抑制細胞の存在が示された。また火傷脾MNCはIFN-γの産生抑制に加え,mixed lymphocyte reactionやmitogen刺激リンパ球の芽球化も有意に抑制した。S-SupSのマウスより見つかつた抑制細胞の活性は火傷脾MNCのプラスチック吸着画分やcarbonyl iron貪喰画分には存在せず,anti-immunoglobulinまたはanti-Lyt 1.2 monoclonal antibody (mAb)と補体の処理に非感受性で,anti-Thy 1.2またはanti-Lyt 2.2mAbと補体の処理に感受性であつた。以上の結果はこの抑制細胞がLyt 1-2+ T細胞である事を示しているが,火傷初期に出現するS-Mφと並んで,後期に見い出されたこの抑制細胞も,火傷後の宿主が陥る極度の免疫抑制状態の成立や進展に重要な役割りを演じているものと思われる。
- 日本細菌学会の論文
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