ブドウ球菌による実験的マウス腹腔内感染症に関する研究 : 黄色ブドウ球菌308A-1株と特殊ブドウ球菌E-97株による感染像の差違について
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概要
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マウス臓器表面附着ブドウ球菌の殺菌的除去効果を3%クレゾール水,70%アルコールおよび5%ホルマリン水について比較し,3%クレゾールに表面附着菌に対する最も強い除菌効果を認めた。しかしクレゾール処理により臓器内生菌数は著しい影響をうけなかつた。ついで典型的な黄ブ菌の性状を示す308A-1株とcoagulase非産生,plasma-soft agar中でdiffuse型の集落を形成する特殊ブ菌E-97株の致死的腹腔内感染における感染像の相違を細菌学的および形態学的に比較検討した。黄ブ菌308A-1のムチン懸濁菌液を接種したマウスの腹部臓器の表面には灰白色の菌苔の附着を認めたが特殊ブ菌E-97感染マウスでは菌苔の附着はみられなかつた。両菌株とも主に腹腔内で増殖し,腹腔内の菌は速やかに血液中に移行した。しかし血中移行の程度はE-97において著しく高かつた。また308A-1感染マウスの肝,腎,脾においては菌に主に臓器表面に附着した状態で増殖し臓器内部での明らかな増殖像は認められなかつた。E-97感染マウスでは肝,腎,脾の表面での菌の増殖は認められなかつたが,肝および脾では感染早期より主として網内系細胞内に多数の菌が存在し,これらは血液中の菌の捕食によるものであつた。
著者
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