実験的尿路感染症の研究
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概要
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上向性腎盂腎炎の実験モデルを作成することを目的として,E. coliのモルモット膀胱内接種による感染成立の基礎条件と臨床分離株を含めた数菌株の尿路感染能を検討した。基礎条件の設定には,主として細胞内侵入・増殖性のあるいわゆる赤痢型病原大腸菌,E. coli O143を用いた。その結果,感染成立の基礎条件として,1)動物はモルモットの雌を用いる。2)モルモットは感染48時間前から24時間後まで4日間絶水させ,排尿を制限する。3)感染増強をはかるために,酢酸コーチゾンを5mg 1日1回,感染24時間前から48時間後まで連続4日間皮下投与する。4)膀胱内接種菌液は,6%ムチン等量混和液とし,菌数は1010/ml以上とした。この条件下で種々のE. coli株の感染能を比較したところ,細胞内侵入・増殖性のある赤痢型病原大腸菌のみが著しい膀胱炎,尿管炎,腎盂炎をおこし,螢光抗体法で各部位の上皮細胞内に菌の侵入が確かめられた。患者尿からの新鮮分離株や,保存中に細胞内感染性を失つた赤痢型病原大腸菌の変異株は,腎および膀胱から菌の分離はできても,モルモット尿路系には肉眼的および組織学的変化をおこさなかつた。
- 日本細菌学会の論文
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