鼠咬症病原体の電子顯微鏡的観察 : 第2篇鞭毛と生毛体について
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概要
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蝋咬症病原体 (Spirillum minus Carter or Spirochaetamorsus muds Futaki et al.) を1%オスミツク酸溶液で処理し電子鏡検した所, 細胞体は扁平化し, 電子光学的密度は減少, 二次的に鞭毛根部の状態が明かになった。即ち, 細胞体末端に細線維が多数あり, それらの一本一本が夫々根部に小顆粒を一ケ宛有し, この両者で一組となっていた。なお, 根部小顆粒は隣のものと接着集団して巨大な膨隆を形成していた。之等の事実から細線維個々の形態的独立性を認め, 他の多くの細菌の研究から導き出された鞭毛の形態的特微, 概念に一致することによって, 細線維個々を夫々一本の鞭毛, 根部小顆粒を一コの生毛体と見做した。従つて, 本微生物の鞭毛数に関する論争において, この見解に立脚して多毛説が妥当であることを著者は確認した。<BR>この他, 細胞体の扁平化, 電子光学的密度, 生毛体の位置, 機能, 鞭毛数の論争原因, 軸糸, Cristaの欠如等について論及した。<BR>御指導, 御校閲を頂いた林良二教授に深謝する。なお電子顕微鏡の使用を許され, 御援助頂いた宇部興産中央研究所渡辺幸三郎博士, 岩井正氏の御厚意にあつく御礼を申し上げる。
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