マウス累代通過に依る乳酸菌の性状の変化に就いて (第1報)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
Lactobacillus acidophilusをマウス生体に累代通過し, 本菌の所謂Virulenceを増強せしめ得る。斯かる方法によるVirulence増強菌は有毒代謝産物及び菌体内の有毒成分の出現によるToxigenicityの増大によるものではなく, 原菌株免疫血清に対する被凝集性の低下, 形態学的, 培養上の集落の変化及びブイヨンの発育状態より推して, 生体内通過による毒力菌の淘汰によると考えられ, 且つ此の場合一般に謂うS型の淘汰の如く思われるが, 一方Envelope substance或はcapsular substanceの出現も否定し得ない。更に病原化要因として重視さるべきは毒力増強菌が培養基に於ても血清中でも原菌株に比して増殖速度が速やかであり, 同時に白血球に対する被喰菌性の低下していることである。<BR>此等の成績より考察して非病原性Lactobacillusがマウス生体内通過によって, Invasivenessに関連ある二, 三特有の性状を有する解離相に淘汰され, 本菌の持つ急速な増殖性状によって腹腔内注射後速やかに増殖, 菌血症を起してマウスに病原性を発揮するに至るものと思惟される。
- 有限責任中間法人 日本口腔衛生学会の論文