フッ素洗口法を中心とするう蝕予防プログラムの経済効果分析
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1974年から1981年まで7年間, 新潟県牧村の小・中学生を対象として・フッ素洗口を中心とするう蝕予防プログラムを継続実施し, プログラム開始前後のう蝕り患状況を比較検討するとともに, コスト・ベネフィット分析及びコスト・エフェクティブネス分析により経済効果分析を行った。<BR>小・中学生全体で, う蝕り患者率は87.2%から54.7%に, DMFT指数は3.68から1.51に低下し, う蝕り患状況の著しい改善がみられた。<BR>コスト・ベネフィット分析においては, コストの要素としてフッ素洗口に要する直接経費 (第1次コスト) と, 事業の推進, 継続のための基盤づくりの経費 (第2次コスト) が挙げられ, 第1次コストは1人1年間当たり62.8円, 第1次コストと第2次コストの合計は同じく255.5円であった。ベネフィットの要素は, 歯科医療費及び交通費の軽減額とした。歯科治療費は, すべてのう蝕り患経験歯を治療するものとし, 歯科保険点数に基づき1件当たりの治療費を標準化して求めた。歯科治療費の軽減額は1人1年間当たり1455.4円, 同じく交通費の軽減額は53.5円, 合計1508.9円がベネットとなった。したがって, 第1次コストとベネフィットの比は1: 24.0, 第2次コストを加えたコストとベネフィットの比は1: 5.9であった。<BR>コスト・エフェクティブネス分析において1人1年間当たりの健全歯面の増加数は0.54歯面であり, 第1次コストとエフェクティブネス比は, 1歯面を救うために116.3円, 第2次コストを加えたコストとエフェクティブネス比は, 同じく473.1円であった。<BR>これらの経済効果分析の結果, 牧村におけるフッ素洗口法を中心とするう蝕予防プログラムの経済効果は, 極めて大きいものであった。
- 有限責任中間法人 日本口腔衛生学会の論文
著者
関連論文
- 2 高齢者の口腔機能における嚥下・オーラルディアドコキネシス測定器の開発(ポスター発表,第18回日本口腔衛生学会甲信越北陸地方会総会,地方会記録)
- オーラルディアドコキネシスの測定法に関する検討
- 在宅寝たきり者に対する訪問歯科診療の評価に関する調査研究
- 新潟県における歯科診療所の状況について : 平成2年新潟県医療施設調査結果から
- 6 中越大震災とこころのケア対策(シンポジウム 災害医療の実情と展望 : 新潟県中越地震の経験から,第610回新潟医学会緊急企画)
- 中越大震災とこころのケア対策 (シンポジウム 災害医療の実情と展望--新潟県中越地震の経験から)
- 成人・老人歯科保健の時系列解析(その4)-歯科健診未実施地域との比較-
- 歯科健康診査を中心とした成人歯科保健事業は歯牙喪失を抑制するか
- 歯科健康診査を中心とした成人歯科保健事業がう蝕有病および喪失歯の状況に及ぼす影響について
- 6. 新潟県における居宅療養管理指導の実施状況調査結果(第13回日本口腔衛生学会甲信越北陸地方会)
- 5. 80歳高齢者の口腔健康状態と医療費との関連(第13回日本口腔衛生学会甲信越北陸地方会)
- 成人及び高齢者に対する歯科健康診査の効果に関する総合的研究-愛知県の60歳節目歯科健康診査の評価(第2報)-
- 新潟県歯科保健推進条例の制定と今後の展開
- [新潟]県内の新しい動き--魚沼基幹病院を含めた勤務医環境への対応 (シンポジウム 病院勤務医の環境改善への取り組み)
- 乳歯う蝕に対するフッ化物歯面塗布とフッ化物配合歯磨剤の複合応用
- 公診連携を目指した8020育成事業の評価
- フッ化物歯面塗布とフッ化物配合歯磨剤の複合応用による乳歯う蝕予防事業の成果 : 就学時健診における評価
- 2. 介護保険の地域展開 : その戦略(第11回日本口腔衛生学会甲信越北陸地方会総会)
- 乳歯う蝕に対するフッ化物歯面塗布とフッ化物配合歯磨剤の複合応用
- 4. 乳歯う蝕に対するフッ化物配合歯磨剤の付加的効果 : フッ化物歯面塗布の定期的受診者における(第9回日本口腔衛生学会甲信越北陸地方会)
- フッ素洗口法を中心とするう蝕予防プログラムの経済効果分析
- 21世紀の地域歯科保健の課題と行政の役割
- フッ素洗口法を中心とするう蝕予防プログラムの経済効果分析