ランタン処理歯牙の耐酸性について
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概要
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う蝕のないヒトの抜去歯牙をLa溶液 (pH3.0) に浸漬処理を行うと, 歯牙表面のCaとLaとのイオン置換反応が進行し, 歯牙表面にLaの被膜が形成される。このランタン化合物はリン酸ランタンとその複合体であることが確認された。<BR>リン酸ランタン化合物は酸, アルカリ, 熱に安定な性状の物質であるので, 表面がcoatingされた歯牙の酸に対する抵抗性を検討した。<BR>酸性溶液として0.1M酢酸緩衝溶液 (pH4.0) を用い, La処理歯牙を24時間浸漬し, 歯牙表面のCa, P, Laイオンの推移をX.M.A. で定量分析を行ない, さらに溶液中に溶出したCaとP量を測定した。<BR>1%La溶液で7日間処理した歯牙は酸性溶液に浸漬すると表面に取り込まれたLaがほとんど離脱し歯牙表面にLaは残存せず, 溶液中にはCa, Pの溶出量が多くなる。しかしLa処理を5週間にわた夢行なった歯牙は, Laの取り込み量も増加すると共に酸に対して抵抗性となり, 溶液中に溶出するCa, P量は減少した。<BR>2, 4, 8%La溶液で歯牙表面を5〜7日間処理するとLaの取り込みが進行し, 酸性溶液に浸漬してもLaの離脱はなく, 90%以上のLaが残存していた。また酸性溶液中へのCa, Pの溶出量も減少し, 酸に対し抵抗性であった。
- 有限責任中間法人 日本口腔衛生学会の論文
著者
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尾関 正美
愛知学院大学歯学部微生物学講座
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小林 やす子
愛知学院大学歯学部微生物学教室
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八木 利治
愛知学院大学歯学部微生物学教室
-
細井 辰起
愛知学院大学歯学部微生物学教室
-
武井 盈
愛知学院大学歯学部微生物学教室
-
武井 盈
愛知学院大学・歯学部・微生物学教室
-
小林 やす子
愛知学院大学・歯学部・微生物学教室
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尾関 正美
愛知学院大学・歯学部・微生物学教室
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