エアータービンハンドピースの汚染とそれに対する紫外線消毒効果
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概要
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術者や歯科診療室の汚染はエアータービンエンジンの歯牙切削に起因することが大であると報告されている。しかしながら, エアータービンェンジンの歯牙切削による汚染は術者や診察室だけではなく, エアータービンハンドピース自体も汚染させている。そこでその汚染対策を行なうについて, 構造上の特殊性から消毒にはある程度の限界があるため現状では操作の容易な消毒剤に頼らざるを得ない。そこで著者は紫外線による消毒が可能ならば, 操作も簡単であり, 一定した消毒効果が得られると考え, まずハンドビースの汚染状態を把握するため, 従来診療中はハンドピースの消毒を行なっていない診療所, 時々消毒する診療所及び使用後その都度必ず消毒する診療所の各3カ所の歯科診療所において第1週の5日間は診療開始前, 次週の5貝間は1日の診療終了後にハンドピースを拭き取り, それらの細菌コロニー数を算定した。ついで紫外線消毒の効果を検する基礎的研究としてE. coli, S. aureus及びB. subtilis (芽胞) を用いて紫外線強度と殺菌時問との関係について検索し, 最後にハンドピースについてその表面を万遍なく照射できる消毒装置を試作し, その効果について検討した。<BR>以上の結果から, (1) 診療中にハンドピースの消毒を常時行なわない診療所は使用後その都度必ず消毒する診療所に比して, ハンドピースの細菌汚染は大であった。 (2) 使用後その都度必ずハンドピースの消毒 (薬液による清拭) を行なう診療所においてもハンドピースは常に無菌ではなかった。 (3) E. coli, S. aureus及びB. subtilis (芽胞) の紫外線による殺菌時間は紫外線強度を増加させることにより, 短縮することができた。 (4) 紫外線による殺菌効果はE. coli, に最も大であり, ついでS. aureus, B. subtilisの順であった。 (5) 試作した紫外線消毒器では5分以内にハンドピースの消毒が可能であり, 十分有効なことがわかった。
- 有限責任中間法人 日本口腔衛生学会の論文